ズル休みはリフレッシュ休暇。
会社に行くと桜子ちゃんも出社していて、元気な姿を見せてくれていた。
彼氏のてるちゃんも週末に退院して、こっちに戻ってくるようた。
よかった。
桜子ちゃんの元気な笑顔を見ると、3つ目の願いを使ってよかったなって思う。
「土屋さん。大丈夫?無理しないでね」
優しい優しい声で平野課長に言われて「ありがとうございます」ってサラッと返事する私。
その笑顔を見ると
また、だまされそうで怖い……って思っていたら、背筋がザワザワする。
経理の方から冷たい視線が飛んでくる。
私の心を見透かさないで下さい。
油断も隙もない死神だ。
心を読むのだけはやめて欲しいよ。
4つ目のお願いをそれにしようかな。
そんな事を考えながら
昨日休んでいた分の仕事をこなしていると
昼前に、平野課長の姿が席になかった。
ホワイトボードを見てもお出かけはしてない。
社内にいるはず。
話をつけようか。
いくら私がバカでも、このままズルズルは良くない。
丸め込まれるかもしれないけど
常務のお嬢さんの話を聞いてみて
私に対する気持ちも、はっきりと聞きたい。
万が一
私と常務のお嬢さんを同時に好きになって……る、ワケないか。
死神にまた『救いようのないバカ』って言われるな。
平野課長が居そうな、屋上へと繋がる階段の踊り場に行き
バカな私は現実を見るはめになる。
「……合コンは無理だって。彼女に怒られる」
どうやら電話中らしい。
終わるまで待つか、また別の日にしようか。
「違う違う。同じ会社の地味な女じゃなくて、見合い相手の常務の女。おいおい、地味な女は恋人じゃなくて金ヅル。俺の財布」
品のない笑い声が階段下まで響いてる。



