デートがキャンセルになったけど
まっすぐ家に帰りたくない。
絶対的に家で待ってる死神に
嫌味を言われる確率95%以上。
梅雨時の降水確率と同じ。
雑貨屋さんをブラブラ歩き
カフェに入ろうかどうしようか悩んでいると、桜子ちゃんから電話が入った。
『心配かけてごめんね』
その明るい声だけでわかったよ
てるちゃんは大丈夫だって。
『社長が心配して病院まで一緒に行ってくれたの。それが聞いてよ。てるちゃんは全身打撲だけなんだって。病院の看護師さんが容態を間違ったみたい。もーっ。人騒がせだよ』
よかった。
本当によかった。
3つ目のお願いが叶ってよかった。
桜子ちゃんは社長にお願いした私の行動に、改めてお礼を言ってから電話を切る。
嬉しい報告に心の中がほっこり。
うん。気持ちがよくなった。
家に帰ろうかな。
遠くの方で見える桜並木が春を待っている。
今月末には咲くかな。
私がこの世で見る
最後の桜だね。
あぁまた感傷的になっている。
さぁ帰ろう。
駅に向かう途中
オレンジ色の外壁も可愛らしい一軒の店を見つけてしまった。
亮さんと行くはずだったレストラン。
小さなお店だけど味は最高で、予約がないと入れないお店。
デザートのティラミスが美味しいって雑誌に書いてた。
そうだ。お持ち帰りで買って帰ろうか。
機嫌の悪い死神と食べてもいいし
嫌な顔されたら
ひとりで食べよう。
桜子ちゃんが無事に鹿児島に到着した記念。
買って帰ろう。



