現実世界で捕まえて


「差し入れです」

「ありがとう」

国境を一瞬で越えてやってきた死神から抹茶ラテを受け取った。

「3つ目の願いは決めました?」

「ううん」

わかった事は、どこに行っても同じだなって話。

グランドキャニオンに来ても
イヤラシイマンションの一室でも
考えは変わらないし、名案も出てこない。

仕事を辞めて
顔を変えて生きるか。

実家に帰って家族と過ごすか。

遊び歩くか。


顔を変えて
すんごい美女になっても
お金があるから今のままでいい気もする。

家族に会いたいけど
半年でお別れなら、別れがつらくなる。

遊びって……何?

パワースポットは何も教えてくれない。

ハゲタカに命を狙われる危険は教えてくれたけどね。


悩んで悩んで

半年が終わる気もするけど

それはそれで
自分らしいかもしれない。

「とりあえず、あさって帰ります」

軽く返事をしたけれど、死神はもう消えていた。

彼の手料理が恋しい。