そう思っているうちに

立ち上がった久瀬君が再び私をチラッと見る。

「…なんか言いかけてたか?」

「う、うん。あのね久瀬君…」

「なんだよー、なんの話?」

う、他にも人がいるのに言えないな。

「や、やっぱり忘れちゃった」

「…?あっそ。…まあでもサンキューな」

久瀬君のお礼…

それだけでもう十分かも。

そう思っていると久瀬君は友達と歩いていく。

「行くか。和樹は?」

「屋上だと。
じゃあまたな、下梶妹」

「う、うん」

そうなんとか返事を返した後、

二人は行ってしまい、

私も急いで先ほどの席に戻った。