「あ、あのっ、千円もしてないよ?」

慌ててそう言って顔をあげると

なんと2メートル以内にいる久瀬君が…

久瀬君も一瞬、

突然のことに面食らったような表情をしてから

なんとか再び口を開いた。

「…礼。サンキューな」

ドキッ…!

え…?

「で、でも私が勝手に買っただけだし、やっぱり悪いよ」

そう言って再び

久瀬君の手に千円札を滑り込ませる。

「俺の限界の礼を…」

限界の礼って…

…あ!

「く、久瀬君っ、じゃあ…」

そう言って再び顔をあげると…

「…っ…限…界…」

「えっ」

私が喋り出した途端にふらふらしだす久瀬君に

手を差し出すこともできなくてあわあわ。

すると…

「ちょ、皐月!?お前なにやってんの!?」

そんな声がして、現れたのは和樹のクラスメイト。