それだけ言うと財布を持って購買まで。

ええと、久瀬君なにが好きかな…

あ、前に和樹が意外と甘党って言ってたよね。

じゃあこれとこれと…

そうして何種類かのパンを選んで

さっと買って戻る。

「はい、どうぞ」

「どうぞって…」

久瀬君が戸惑ったような声音でそう言って、

パンの入った袋を見る。

「えっと、せっかく買ってきたし、どうぞ」

そう言って渡そうとして少しためらう。

どう渡せばいいかな?

迷っていると、久瀬君がためらいながらも

ゆっくりと私の方に歩み寄ってくる。

って、えっ?

久瀬君がこっちにくる、

なんと2メートル以内に…!

あっけにとられていると、

久瀬君は私の持っている袋を取り、

代わりに千円札を手の中に

さぁー!っと滑り込ませた。