和樹が靴を履き終えるのを待っていると、

不意に久瀬君が2メートルくらい離れたところから声をかける。

「……大した構いもできなくて悪かった。
あと兄貴のこともサンキュ」

「ううん、こちらこそ和樹、
またDVDいっぱい借りちゃってるみたいで…」

そう言って和樹が抱える来た時よりも

かなり膨らんだバッグを見る。

…これ選んでたせいで降りてくるの遅かったんだ…

まあ涼介さんと話せたからいいんだけど…

「ではおじゃましました。
涼介さんもありがとうございました」

「こちらこそありがとう」

そう言って目配せする涼介さんに曖昧に微笑んで、

靴を履いて久瀬君にも笑顔を見せる。

「久瀬君、また学校でね」

「……おう」

そう言って…

「っ…」

ほ、微笑んで…くれた…