久瀬くんは〇〇恐怖症

「わっ…」

なぜかバランスを崩して、

「っ…!あぶなっ…」

トンっ…

「大丈夫かっ?」

そう言った久瀬君のきれいな黒髪が目の前で揺れる。

え、待って…今…

「だ、大丈夫。
それより久瀬君…」

状況を先に理解した私は

おそらく真っ赤であろう顔で問いかける。

「…だい…じょうぶ…?」

そう聞いてすぐに顔を俯かせる。

だって私今…

…久瀬君に、抱きしめられてる…

すると久瀬君ははっとした後、

自分の行動に対して驚いたような表情で私を見つめる。

「あ…の…倒れる前に離した方が…」

そう言って離れようとすると、

久瀬君が一瞬抱きしめる力を強くして、

それから離した。