虹色の日



誰が言い出したのかはわからない。

最初に言った奴は凄いと思う。


友達が女子の胸を見始めたのだ。



体育の授業の最中、中学に入って仲良くなった達也が、クラスの女子の一人を小さく指差した。


「アイツ、他の女子よりデカくね?めっちゃ揺れてる。触ってみてえ。」


達也はクラスでもわりと中心的存在で、こういう話を気軽に振れるところも、好かれる理由の1つなんじゃないかと思う。



それに比べ、俺は全く違った。


女子の成長していく身体を見ても、胸なんて無いほうがラクなんじゃないかと思うだけ。


でも、トイレに行く女子が小さな袋を持っていく度にニヤニヤとする男友達に合わせて、興味のあるふりをした。



ふりだけ。



性にも恋愛にも周りが興味を持つ中、俺はどうでもいいと感じていた。



それについては、ふりをしていれば周りの目を誤魔化せたし、いつかは自分もこうなるんだろうなと思っていた。