高校受験をした。
同じ私立高校に、いつもつるんでいるグループの一人の和世も一緒に受けた。
和世は、小学校5年生のときに転校してきてからずっと一緒にいた一人だ。
もう一人は康介。
いつも馬鹿ばかりする康介と違って、毎日図書室に通うような大人しい奴で、隣にいると新鮮だった。
声をかける口実として、「なんかオススメの本教えてよ。」と言うと、慌てながらも一生懸命本を選んでくれて、読んでみたらちょっと難しかったけど面白かった。
ちなみにミステリー。
今ではその作者の書いた本を10冊以上持っている。
自分のおこづかいを、自販機とガチャガチャ以外に初めて使った。
それから和世はだんだん喋るようになって、中学になっても、賑かなグループの中、ニコニコと和やかな雰囲気を唯一醸し出していた。
無事二人とも合格したと知ったときには、笑いながらハイタッチをした。
心強かった。
和世の前では、自分が合わせるようなことはあまりしないですむから。
