言いかけた瞬間、優木くんに 両手で口を覆われた。それでも口は止まらなくて、モゴモゴしながら言い続ける。

「欲情しないわけないだろ。でも、今はしないって決めたんだ。企画を成功させるまでは夫婦だけど戦友でありたいから。だから、それまでは我慢する。まあでも、抱きしめたりとかはしてるけど」


「戦友?夫婦なのに戦友なの?」


「だから、ストッパー掛けてるんだよ。願掛けみたいなもの。好きなもの断ちってことだよ。企画を成功させるまでは俺は葵断ちをするって決めたんだ」


また、そんなこと勝手に決めて。この人は、もう。私にそっぽを向いてボソボソと話す優木くん。

そんな優木くんを可愛いと思うと同時に軽く意地悪をしたくなる。後ろから彼にそっと抱きついて、耳元で囁いた。


「・・・私が、望んでもダメ?」


「バ、バカ!煽んな。ダメ、ダメって決めたんだ。これは俺なりの願掛けなんだから」


「誓いのキスもしないの?」


「ああっ、もう。キスだけ解禁」


そう言って奪うようなキスが降ってきた。でも、せっかく優木くんが我慢しようとしてくれてたんだから意地悪はこのくらいにしよう。


結婚式が終わっても企画が成功するまでは私たちは夫婦だけども、戦友。