「ずっと考えてたんだよ。葵の企画が始まれば忙しくなる。それに、いやこれはいいか。とにかく、俺は早く結婚式を挙げたいんです。お願いします」


「何か、理由があるのかい?」


「・・・すいません。こっちの事情で。どうしても結婚式に参加してほしい人がいるんです」


その口ぶりからまるでその人には時間が限られているかのような気がして私もそれ以上は何も言えなかった。


「・・・わかった。二人がそれでいいなら構わない。ただ、優木くん。葵とちゃんと相談して決めてそれから改めてまた日にちを連絡してくれんか?二人は夫婦になるんや。大事なことはちゃんと二人でよく話し合って決めなさい。いいね??」


見送ってくれた両親に手を振り、新幹線に乗り込んだ。優木くんはさっきのお父さんの言葉にわかりましたと言ったきり、言葉を発さない。


見送りの二人にも頭を深々と下げただけだった。