彼女は育児ノイローゼになったらしい。さすがにそれは、可哀想だと思った。とはいえ、あのママさんのようにリフレッシュをしようとして、余計に辛い思いをすることもある。


赤ちゃんは思うようにはしてくれなくて、泣き声は周りに迷惑をかける。

楽しむために来たのに顰蹙ばかりで非常識だと罵られる。だからママたちはストレスが溜まって、そのはけ口に赤ちゃんを・・・


「葵、大丈夫か?顔が強張ってる」


「あっ、ごめん」


「企画のこと、考えてたのかもしれないけど、そんな顔してたらみんなに心配かけるぞ」


私がフリーズしている間に泣き出した昴くんは優木くんから美由紀ちゃんの抱っこに変わっていた。美由紀ちゃん、ケーキもセーブしているって言ってたな。今日はお祝いだから特別って言ってたけど。


ママは、いっぱい我慢しなくちゃいけないんだ。好きなものも、やりたいことも。

「お風呂・・・確か何かのときに見たことがあるような。ごめん、お母さん。ちょっとパソコン貸して」


うん、見た。絶対に見た。あの時はこんなのもあるんだって素通りしていたけれど覚えてる。家のパソコンの検索ワードに用語を打ち込む。


「これだ。これだよ、優木くん。私、企画書出来るかもしれない」