お母さんが買って来てた美由紀ちゃんの分のケーキを食べながら話す美由紀ちゃん。確かに、これだけ子ども好きだと安心だと思う。

って私たちは偽装結婚なんだから、子どもなんて。でも、ふと昴くんを抱っこしてあやす優木くんの姿に未来図が重なった。


「ほら、ママだぞ」


いけない、いけない。それを払拭するように美由紀ちゃんの隣に座る。昴くんはまだ優木くんから離れることはなかった。


「ねえ、美由紀ちゃん。赤ちゃん連れで今度バスツアーを企画するんだけど美由紀ちゃんだったらどんなバスツアーなら行きたいと思う?」


ズルい手を使った。でも、一番分かりやすいのは実際のママの意見だと思ったから。

いろいろ頭で考えてみるもののどうしてもそれがニーズに応えられているのかわからない。経験がないから。


「バスツアー?んーとりあえず無理やな。やっぱりまだ授乳間隔も短いし、泣くやろ?電車やバスもすごい気、使うし。それにそんなとこに行くならゆっくり寝たり、お風呂入ったり自分の時間が欲しいわ」


「自分の時間か」


「そう。子どもは可愛いんやけど、なんせ自分の時間がない。体が慣れてきたら寝ているときに少しリフレッシュ出来るかもしれんけどやっぱり寝てたら一緒に寝てしまうことが多いもん。お風呂なんてうちは旦那が帰り、遅いから一人で入れてるんやけどゆっくり入ってる暇なんてない。あっという間に一日が過ぎてくのにツアーなんて参加しようと思わんわ」