仕事帰り、何気なくつけたニュースでの報道に絶句した。顔までもしっかりと写っていて間違いなく彼。私の彼氏だった末高浩だった。

嘘、嘘だよね?今日はエイプリルフール?じゃない。カレンダーは3月1日。まだ1ヶ月も早い。

浩。私と結婚したいって言ってくれてた。こんなの何かの間違いに決まってる。だって私たち、結婚資金のために二人で預金通帳作って貯金して。


慌てて携帯から浩の番号に電話をする。でも機械音が鳴るばかり。嘘でしょ。慌てて二人の共同通帳を寝室の鏡台から探すも見当たらない。

引き出しを引っ張り出して、中身を全部出しても、あるはずの通帳はない。どうして。ヘナヘナと力が抜けてその場に座り込んだ。


「・・・うそでしょ。だって、昨日電話した時は、早く結婚したいねって言ってくれてたのに」


頭が真っ白になる。どうしよう。何をどうすればいいのか全くわからない。け、警察に電話すればいいの?いや、逮捕されたんだから警察に電話しても仕方ないよね。どうしたら。


呆然として何も手につかないと思っていると手元の携帯が震えた。浩かもしれないと慌てて携帯に出る。


逮捕された人間が電話なんて掛けてくるわけないと冷静になればわかることなのに当然、今の私は冷静じゃない。