「葵、社長必死で頭を下げてくれてたお前のために。お前の企画を必死で推してくれてた。でも、先方はこの企画自体を受けられないって言ったんだ」


「それって今回のことがなくても断るつもりだったってこと?」


「ああ」


「なんて、言われたの?」


「今、託児所廃止の話が出ているらしい。どうやら託児所目当てにやってくる客が多いらしく、しかも無料で預かるからと1時間も2時間もほったらかしの母親が多いらしい」

「そういえば花純さんと行ったときもたくさん子どもいたもんね」

「うん。それで時間制限や人数制限もしたけどもう手一杯だから無理だって言われた」


「そう、なんだ」


やっぱり無理なんだ。たとえ、今回のことがなくても。あそこは窮屈そうだったし、赤ちゃんもきっと疲れるだけ。でも、星の湯以外に託児所のあるスーパー銭湯なんてどこを探しても見つけられなかった。

スーパー銭湯の近くの無認可保育園に提携を頼むことも考えたけれど、それも難しいと思う。星の湯が唯一の場所だったのに。


「こっちの意向を伝えた。それでも向こうは無理だと言った。ちゃんとした理由も話してくれた。だから俺らはもうそれを受け入れるしかない」


「・・・そうだね。社長や優木くんが謝ってくれて、私の企画まで推してくれたのにそれでもダメだったのに私が行けば大丈夫なんてなんて自惚れだろ。社長に怒られても仕方ないな。後で謝っとかなきゃ」