強引同期と偽装結婚することになりました

そう、だったんだ。それなら仕方ない。とは言えないけれど柳くんはここで働くことが妥協だったんだ。

だから、いつ辞めてもいい仕事のやり方しかしてこなかったんだね。でも、ごめん、そうとは知らず勝手にイライラしてて。


「まあ一種の反抗だな。俺と葵の結婚式をバラしたのも腹いせ。でも、葵に叱られて目が覚めたはずだ。お前も合格だと思うよ」


「合格?」


「葵さん、そこのメロンパンすっごい人気らしくて美味しいらしいんで買ってきました」


「あ、葵さん?!」


「予感的中。心配が増えたな」


手を振って叫びながら戻ってくる柳くんはまるで尻尾を振りながらご主人の元に掛けてくる犬のよう。今までのイメージと全然違う。

でも、優木くんはそんな彼を見てもまったく動じない。私は驚きを隠せないのに。


「葵のことは信頼できるってこと。多分、あいつは心の中で自分を見てくれる人を探してたんじゃないかな?ちなみに俺も合格だってさ」


ぽんぽんと頭を撫でられ、先に車に戻っていく優木くん。私、柳くんに認められたってこと?


「はい。メロンパン。後で食べましょうね」


「あ、ありがとう」


買ってもらったメロンパンを受け取る。確かに並ぶ価値のありそうな美味しそうな匂いがするけれど、それより柳くんの変貌ぶりにしばらく戸惑いを感じずにはいられなかった。