あれから、優木くんは本格的に柳くんの指導係になった。とにかく、言葉遣いも態度も悪い。きちんとした敬語は使えないし、何より結婚式場でバイトをしていたことが信じられない。

それを本人に伝えると自分はキッチンの仕事だったから接客はしていないと返ってきた。


「社長、柳くんまた、電話対応でお客様を怒らせましたよ」


タバコ休憩に来たであろう社長に苦情を告げる。とりあえず、今は言葉遣いを直せと優木くんに言われたのに、電話が鳴ると即座に取る柳くん。

人にも代わろうとせずに、適当な応対をするので受話器を奪い取ると、案の定お客様からはお叱りの言葉。ここ数日、それが続いてみんなピリピリしていた。


「なんで取るなって言ってるのに取るのか聞くと、そこは真面目に給料泥棒になりたくないからっす。とか言うんですけど、ならせめて言葉遣いを考えてくださいって思うんです」


「あはは。とんだ厄介なやつだな、あいつは。どおりで最近、優木がピリピリするわけだ」


「優木くんの言うことも聞かないし、挑発するし、みんな困ってるんです。それにずっと、『ワケあり』なんですよね?って詮索してくるんです。どうにかしてください!」