「今日は来ていただいて本当にすみません。本来なら僕がお伺いするべきだと分かっているのですが、都合がつかず、申し訳ありません」


「それは、気にせんでいい。それより、話を聞かせてもらおか」


「はい。昨日、お父さんとお話させて頂いて、僕は葵さんへの配慮にまったく欠けていたと思いました。自分のことばかりで葵さんの気持ちが見えていませんでした」


「優木くんの気持ちは素晴らしいと思う。でも、昨日も言うたようにこっちにも思うところがあるんや」


「うちも女の子は葵だけやからやっぱり結婚式はいいもんにしてあげたいんよ、ごめんね」


お父さんとお母さんの言葉に優木くんが首を振る。自分が悪いと言って。優木くんは悪くない。


悪いと言えばお父さんの言葉を拒絶して優木くんの味方になれなかった私。でも、今ここで私が何を言っても意味がない。優木くんの答えを待つしかない。


「すみません。僕が至らないばかりにお二人に嫌な思いをさせてしまって。今日、お呼びだてしてお話したかったのは、全てを踏まえて一度、葵さんとの結婚を白紙に戻させていただけないかということをお伝えしたかったんです」


「優木くん、ちょっと待って」


「葵、お前はちょっと黙っとけ」


優木くんの言葉を遮ろうとしたのにお父さんに止められてしまったので仕方なく、黙って優木くんの話を聞くことにした。