君に遺された恋

17歳の頃私は初めて「男」を知った。



初めて私を抱いたのは幼馴染みの男の子。

「トリア、ずっと、君とこうしたいと思ってた。」


2人で裸のまま抱き合う心地よさは
何にも代え難い喜びがあった。


彼は私を何度も抱いて、私もそれに応えた。


数ヶ月経ったある日、
いつものように愛し合った後、
私はたまらず彼の腕枕の中で問いかける。

「ねぇ、いつ結婚する?」

「え?」

「だから…いつ私をあなたのお嫁さんにしてくれる?」


はにかみながら彼に甘えるように尋ねると、思いもよらない返事が返ってきた。




「僕は君と結婚しようなんて思ったことは一度もないよ、トリア。」




は…?今何と…?


「僕はね、君みたいな可愛い子を抱けることが幸せなんだよ。
男のステータスっての?結婚だの、愛だのバカバカしい。
そんな絆、いつか死んで無くなるじゃないか。

今さえ気持ちよければ良いと思わない?

トリアは結婚とか、そんな目で僕を見てたの?」

「ぇ…だって今まで何度も私を抱いて…」

「ったく、これだから面倒なんだよ…
僕は君に今まで、愛してるって一度でも言った?」

「そんな…」

「分かった?僕のこと好きならこれからも抱いてあげるよ。
だけど、これからも僕は君を「愛する」なんてことは無…」

「願い下げよ!!最低っ!!!」


私は手近にあった物を彼に投げつけ荒っぽく服を着て部屋を飛び出した。