ピーーーーーーーーーッ!

女が持っていた笛を鳴らすと、
部屋の前に待機していたと思われる衛兵数名が部屋に入ってきて、
女に掴みかかる私を両側から取り押さえ、部屋の外へ引きずり出した。

「放せ!!!放せよ!!!!」


返せ。私のエルナーを。

私との記憶を返せ…!!!


衛兵に引きずられながら部屋を振り返ると
血で染まったベッドに静かに横たわったエルナーの姿が、小さく見えた。



直感でわかった。


もう私は二度とエルナーに会うことができない。



さよならエルナー。


さよなら。私の愛しい王子様。