クッキーを1枚ほおばると、部屋の外が急に騒がしくなる。

部屋を出て、慌てる使用人のひとりに声をかける。


「ねぇ、そんなに慌ててどうしたの?」

「あぁ王子!今、急に王様がお戻りになられました。」

「へ?!」

「予定では今晩のはずでしたが…急で…」

「分かった。ありがとう。忙しいのにすまない。」

「いえっ」


僕は頭が真っ白になった。

このタイミングだと、門の辺りでミラと擦れ違ったんじゃ…


ゾッとした。


外面の良い父は、直接ミラをどうこうする事は無いはずだ。
どうこうされるとしたら…僕だ…