ミラが僕のシャツのボタンにゆっくりと色っぽく手をかける。

「ミラっそれは駄目だ。」

僕は慌ててミラの手を握って止める。



何故って…

僕は身体中がアザだらけなんだ。



キョトンとした顔で僕を見つめるミラにそんなこと言えない。

「また…今度、ね。」

そう言うのが精一杯で僕は目をそらした。
すると妙な程に素直にミラが返事する。


「分かったわ。また今度あなたに触れさせて?」

僕はコクンとうなずき、襟を正してベッドに腰掛ける。


腰抜けだと思われただろうか。
いや…いくら何でも…


ミラが城を訪れる事に癇癪を起こした父に、極秘で虐待を受けているなんて言えるわけがない。