君に遺された恋

俺はトリアと、拙く歩くレグルスを連れてエルナー様の部屋に向かう。

部屋には既に数名の使用人が居た。


「エルナー様…」

目を開けたエルナー様に医師として声をかけようとしたが言葉が見つからない。

おはようございます?

やっとお目覚めですか?


君の妻は俺が…


いやいや…。

言葉に詰まっているとエルナー様が口を開く。


「俺…は…?」

「3年間、意識を失ってらっしゃいました。
ほら、この可愛い男の子があなたの息子ですよ。」

「息子…?」

「はい。」

「いや、トリアは…まだ妊娠9ヶ月で…」


意識を失った時のまま時間が止まっているのか…?


するとエルナー様がトリアを指さして言う。

「すまないがそこの君、トリアを探してきてくれないか。」


その場の空気が凍りつく。


トリアはゆがんだ笑顔で答える。

「エルナー様。困りますわ。私がトリアですよ。」

するとキョトンとした顔でエルナー様が言う。


「いや、トリアは…金髪のウェーブがかった髪で…君じゃない。」