君に遺された恋

「引き返すなら今だよトリア。」

そう言ったけど彼女の意志は固かった。

「いいえ、引き返さないわ。
あなたの「恋人」になりたい。
先生。一人の女として私を見て?」


俺が…トリア様の「恋人」…?

許される訳が無い。


しかし王様がトリア様を自由にしたい気持ち。
トリア様が俺を恋人にしたい気持ち。
は、あまりにもできすぎたお膳立てだった。


体の芯が熱くなり、今すぐトリア様を抱きしめたい気持ちが溢れるのを我慢して
俺は部屋の鍵をしめ、カーテンを締め切り、
誰にも見つからないよう、彼女に声を我慢するように忠告した。


細い腕についた無数の傷
白い胸についたアザ
太ももについた打撲の痕

俺はその全てに口づけながらトリアに溺れる。


首に腕を絡ませ甘い声を出すトリアの顔を見て気付く。



愛されたいのは俺の方だった、と。



愛する人とひとつになる事がこれ程心を震わせたのは初めてだった。


ギシギシと揺れるベッドで裸で抱き合う瞬間が
トリアを俺のものにできたような気持ちにさせる。




しかし俺はエルナー王子の代わりに過ぎない。




「愛してる」と言えたらどんなに楽か。