君に遺された恋

それから数日、トリア様は俺の言葉の真意を確かめるように声をかけてくるようになった。


言えない。
王様が君を手放そうとしていたなんて…


だけど今まで俺に興味を示さなかったトリア様が、
俺にかまうのが可愛くて、ついほほがゆるむ。

結婚したかっただの嬉しい事も言ってくれる。


だけど、一線を越える覚悟は、俺には無い。


エルナー王子の目が覚めるまでの期限付きの想い。

「好き」?

いや、俺は…医者として彼女が心配なだけだ。




そう言い聞かせないと好きになってしまいそうなんだ。




数日、もやもやとした自分の気持ちを抱えながら過ごす。
「好きになってはいけない」と思えば思うほど気になるトリア様の笑顔。

ある日診察を終え帰ろうとしたところを
トリア様が俺を部屋に招き入れた時、
すでに胸の高鳴りが抑えきれずにいた俺は、彼女の

「先生…私に恋愛を教えてください。」

の言葉で完全に気持ちが決壊した。