おそるおそる、裸で横たわるエルナー王子の側へ寄る。

確かに出血は首についたわずかな傷からだけらしい。

顔は真っ白。
唇は紫色。

ったくどんな抱き合い方したらこんな事に…

と、落ち着きを取り戻しながら王子のまぶたをめくって眼球を確認した時、
俺はまたも背筋が凍り付き、これは夢かと目を疑った。



縦に切り込みを入れたような細い瞳…



この目は…



魔女の目だ。



魔女だけが持っていると言われている縦に細い瞳。
これは普段は普通の瞳で、
魔法の力を使う瞬間のみこの目になると昔本で読んだ。


王子が…魔女…?

いや、男は勿論魔女にはなれない。
母親が強烈な魔女だったとしても遺伝しない。
そもそも、王子の母親は魔女ではない。


じゃあ何故…

前例が無いこの事態に、俺は手当てするどころか
立ち尽くすこともできずその場にしゃがみ込んで頭を抱えた。



正直、エルナー王子の意識がいつ回復するかなんてわからない。
あの魔女は2・3日と言ったが果たして…



俺はエルナー王子を個室に移し、絶対安静の状態で隔離し
点滴で栄養を流し込む方法で命を繋ぎとめる事にした。