「まぁ、簡単に言うと親子喧嘩みたいなものかな。」

「王様と?」

「うん…君に会いたい気持ちも抑えられなかったしね。
抜け出してきて良かったと思ってる。」

「そうだったの…でもきっと今頃大騒ぎよ?」

「それはしばらくは大丈夫だと思う。
使用人にお願いして、僕は風邪気味で部屋にこもっている事にしてるから。」

「悪い人ね」と、ミラが笑う。



あぁ、見たかった笑顔だ…

僕は目の前に立っている彼女のほほにそっと触れる。



「そういえば君のお母様は?」

「それが…ここ2・3日帰ってきて無いの。」

「え?!大丈夫?!」

「まぁ珍しいことでもないわ。
またきっとふらっと帰ってくるから…それより…」

そう言うとミラは僕に向き合うようにして膝の上に座り
僕を優しく抱きしめた。


「ここに来てくれて嬉しい。」