すると王様が口を開く。

「お目にかかれて光栄と…
わざわざ君はこんなに朝早くから門の前で私を待っていたのかい?
寒かったろうね。ハンカチ、ありがとう。」

そう言って王様が目尻の涙をぬぐう。

「汚してすまないね。新しいのを買いなさい。」

そしてそのハンカチと共にいくらかのコインをルイスに渡す王様。


「お心遣い、ありがとうございます。」


そう言ってルイスはハンカチとコインを受け取り
王様を見送る。


付き人が警戒して私達を疑うような目で見て

「ほんと、王様は人が良すぎます。」

そう少し怒りながらその場を後にした。


ルイスの隣に駆け寄ると、彼女が震えた声でボソッと私に言う。


「トリア…私を止めて…魔女の本能が私を…動かすの…」