次の日の早朝、私とルイスは予定していたとおり城の門の前に来ていた。

「来たけど…塀が高くて何も見えないね。」
ルイスが残念そうに言う。

「近くまで来られただけでも充分よ。帰りましょ?」

そう言って振り返ると、ちょうどその時背中側から門が開く音がした。

ギィィイ
「王様!お気をつけて!」

門の内側から王様が使用人に見送られながら付き人と一緒に出てきた。


「すごい…」


威厳っていうのかな?堂々としたオーラが私を立ち尽くさせた。


「ね、ルイス。すごいね…」


そうルイスに声をかけたつもりが、忽然と姿の消えたルイス。


「あれ?ルイス?」


私が彼女を見つけた時はもう遅かった。
あろうことか彼女は王様の前に飛び出して、丁寧に挨拶をしていた。

「私は、ルイスと申します。王様にお目にかかれて大変光栄です。」

「?」

私は訳が分からなくて、成り行きを見守る。
するとルイスがポケットからハンカチを取り出して王様に手渡す。

「あくびでもされたんですか?目の端が濡れていますよ。」


たちまち付き人が警戒し、王様もキョトンとしている。