君に遺された恋

「トリア、あんたさ、まだ男が憎い?」

「えぇまぁ、もうずっと独身で居ようかなって…」

私が真剣にそう答えるとルイスが腹を抱えて笑う。

「何それすっげー生意気!あんたまだ20にもなってないんでしょ?」

「えぇまぁ…」

「まだまだこれからだよトリア。」

「?」

「幸せになりたくないやつなんて居ないじゃん?
私はあんたみたいに自分の快楽と幸せの為に一生懸命な奴、すっげー羨ましい。
まぁあんたはちょっとひん曲がった方法だったと思うけど。」

そう言って豪快に笑うルイス。

「ルイスは幸せじゃないの?」

「幸せだよ?幸せだけどさ…時々寂しいんだ。」

「どうして?」

「魔女の力がさ…私を寂しくさせるんだ。私は記憶をいじることができるからさ…。」

「うん。それって素敵じゃない!あの時もすっごく助かったし…」

「そう言ってくれるのはトリアくらいだ。」

「?」

「皆、私の周りから逃げていったんだ。
魔法を使ってトリアの時のように助けてあげても、魔法を恐れてさ…
記憶を消されたらどうしようってビクビクするもんだから、誰も私に近寄らない。」

「そんな…」

「だからここにひとりで居るんだ!案外楽しいけどね。それでも時折寂しい。
人に会うのが怖くてなかなか街へも行けないしね。」


私はしばらく考えた。
ルイスに何かお返しできないかしら…


「そうだ!一緒に街へ出ましょう?私があなたの傍に居るから!ね!」


私はそう言って、ためらうルイスの手をとり街へ出た。