一方通行 1

「分かった?ちゃんと言ってよ?」









教室の前で、二人が会議中。








大「分かってるって。しつこいぞ。」









何度も念を押す私に、少しうんざりしてる様子。








そりゃ、何回も言うよ。
雄希と優那に誤解解かないとなんだし!









大翔の事だ。
ちゃんと言っておかないと、ふざけたこと言ってややこしくしそうだったから。




























「うん、じゃあなんて言うんだっけ?」









もう一度確認して、念を押しておこう。








大「任せろ、うまくやるから。行くぞ。」








「ちょっと!」








面倒になってきたのか、私の手を引くと



















大「おはよーございます。」









いつものように教室に入った。









大「あ、自習じゃん。」









ガヤガヤしてる教室に、黒板には自習の文字。








私達が来たことすら気づかないほど、教室は騒がしくなってる。

















大「ラッキー。」







ニコニコしながら、大翔に引かれるまま席に着く。


















教室が騒がしせいか、優那と雄希は私たちに気づかず









ひとつの教科書を、顔を近づけて見合っている。








優那が雄希に、勉強を教えている様子だ。




























でも、二人の距離に嫌な感情が湧き上がってくる。









ひとつの教科書を挟んだ二人は、今にも頬同士が触れそうな距離で








そんな距離に簡単に行ける優那。





























雄希と優那を見つめたまま








拳を握ってた。