剣道は一つの体育館に十会場くらい余裕で作れるからたくさんの試合が同時進行で行われる。


「始め‼︎」


各会場の主審の始めが聞こえた瞬間静まり返っていた体育館は騒がしくなる。


私もスクッと立ち上がり真っ直ぐに相手を見つめる。


徐々に距離を詰めていく。



たぶん、この子一年生だ。


なんかビクビクした剣道をしている。



相手が下がったその瞬間、私は小さく竹刀を振って面を打った。


「めーーーーーん!」


大きく伸び後ろを振り向き構え直すと、審判全員が私の方に旗をあげていた。



「面あり。」



審判のその声にフッと息を吐き自分の白線に戻った。