「ハアッハアハアッ…」


荒く息をする私の隣で悠々と靴を揃える悠雅。



何なんだコイツ。



一発蹴りでも入れてやろうと思ったのに、追いつけなかった。


私はこれでも足の速さだけは男子にだって負けたことないのに。


追いつけなかった。


あまりにもショックでズーンと落ち込んだまま道場に頭を下げて入る。


続いて入った悠雅も当たり前のように礼をしている。



剣道経験者なんだろうな。



するともう来ていた何人かの先輩が近づいてきて、猫背になっていた私の背中をバシんと叩いた。


「もうそんな落ち込むなって〜」


「そうだよ！」


そのことで落ち込んでるわけじゃないけど。


適当な返事を繰り返す私の隣を見た先輩たちは何故かいきなり歓声をあげた。


「もしかして黒田クン？」


「あ、はい」


先輩たちの問いかけにさっきとは打って変わる笑顔を見せて答える悠雅。