(完)年下男子に惚れました

「はいはい、照れないで。って、そんなことより!優菜足大丈夫か!?今から病院に行くからな!」



耳元でギャンギャンと叫ばれてようやく意識が戻り、兄、聖也をべりっと私から引き剥がす。



「照れてない。あんたとは病院行かない。」



「何言ってんだよ。母さんが待ってるんだから、行くぞ。」



どうにもこいつの言うままになるのが嫌で全てに反抗してしまう。



というのも、私こいつのことが世界で1番大っ嫌いなのだ。



こいつは、私と違って幼い頃から完璧男子だった。


顔はお母さんのDNAをそのまま引き継いだのか芸能人ばりに整っていて



勉強も普段は全くしないくせに、テストでは毎回一位。



スポーツも得意で、私が剣道を始めたのも悔しいことに理由はお兄ちゃんにある。



そんなお兄ちゃんと私はいつも比べられて育ってきた。



完璧な兄とダメな妹。



お兄ちゃんは私をいつも褒めていたけど、結局世の中は実力主義だから。



それがすごく嫌で、剣道の推薦を受けて、隣の県の高校で寮生活を始めた時は嬉し泣きをした。