(完)年下男子に惚れました

『可愛いっすよ…』


頭の中で鮮明にあの日の出来事が蘇る。


確かにあいつはあの日、真剣な顔で私の髪を撫でて…


「っっはああああ」


大きく息を吐き出して、洗面台に手を置く。


私は悠雅が好き。
だけど、悠雅は彼女がいる。


それなのに、あからさまに上気していく頬に苛立ち、勢いよく水を出して顔を洗う。


ポタポタとしたり落ちる水滴、これは水だ。


涙なんかじゃないもん。



別に片思いが辛くなったって、泣いたって、何にも変わらないんだから。