「………気は確かか?女。」
「……はい?」
男ははぁと溜め息をする。
どうしてこの男は私の性別を分かったのか…?
「レイサ!良かった。無事だったんだな!」
男の腕に見覚えのあるリスが。
「あ、リック。この薄情リスが。」
私が男に絡まれるとすぐに何処かに逃げていったリス。
「何を言うんだ、人に助けを求めたんだ。全く、あの人はなぜマグル界に。ここは気分が悪いぞ。」
「仕方ない。あの人の命令何だし。失敗したらどうなるか……。」
ピョコっと男の腕から私に移動しながら
「でも」と不満をグチグチ言う。
「魔法使いがいて助かったぞ。もし助けてくれる奴がいなかったら、大切な髪が。」
「また伸ばせばいい。」
「伸ばせばって、そんなんだから男に間違えられるんだぞ!」
「……また始まった。」
男は私たちの会話を黙って聞いている。
「………あ。すまなかった。せっかく助けて頂いたのに。何か礼でも…。」
「いや。構わ「確か美味しい酒屋があったよな。リック。そこに行くよ。」
「……………。」
「ごめんよ。恩人。アイツはマイペースで動いているからな。」
「リック。何をしている?恩人、早く行こう。マスターにも連絡入れた。」
レイサが恩人の手を引く。
「………あぁ、マイペース過ぎるな。」
少々呆れながら笑った。
これが、マッドアイとの出会いだった。
まさかこの出会いが私の運命を変えるとは思いもよらずに。
気付くべきだった。すでに運命の歯車が動き出したことを。
