優しい闇

次に目覚めれば真上に男の顔があった。


今度は直ぐに思い出せる。


あの綺麗な男性。


横顔まで綺麗なんて余程整った顔してるんだなぁ。


ボーッと見つめているとふと男と目が合った。


「やっと起きたか」


目を細め微笑む男はそっと髪を撫でた。


「喉乾いたか?水飲むか?それとも…腹減ったか?食べてないもんな…まずは流動食の方が胃に優しいよな。何せ一週間も寝てたんだからな」


1人で勝手に決めていく男に私も笑みが漏れた。


「静音…天野静音です」


男はポカンと見つめていた。


「お風呂で名前教えろと言ったでしょう?何故私がここに居てあなたにお世話になっているのか分かりませんが、少なくとも一週間もお世話になってしまったから…」


なかなか出ない声を振り絞って話した私に男は優しく微笑んだ。