優しい闇

バン!


「だから言ったんだ!一緒に入るって!」


どこから持ってきたのか紙袋を私の口に押し当てた。


「過呼吸だ。ユックリ呼吸をしろ。大丈夫だから」


そう言って後ろから優しく抱きしめてくれた。


安心する…


どこの誰かは知らないけどホッとする。


そのまま身を委ね、いつの間にか抱きしめられながら湯船に入っていた。


朦朧とした頭で恥ずかしいと思っても、初めて感じる安らぎには勝てなかった。


「気持ちいい…」


そう囁けば


「そうだな」


優しく返してくれる。


ユックリと落ちてくる瞼に勝てずに静音は夢の世界に入っていった。


微かに聞こえてきた言葉。


「名前ぐらい教えろよ」