優しい闇

風呂場に足を踏み入れればゆうに大人が5人はゆったり入れるのではないってくらい大きな浴槽。


大きなガラス窓から見える夜景からしてとても高い位置にあるんだと思った。


横に視線をずらせば全身が映る大きな鏡。


「あっ…」


左腕に巻かれてる包帯が目にとまった。


それだけじゃない。


全身にある無数の傷。


背中全体にばつ印の様な傷跡。


「おっ、お父さん…」


小刻みに震えだす体。


一気に過去が頭の中を駆け巡っていく。


そうだ…私…あの時…死のうとして…


両手で全身を抱いたが震えは収まるどころか酷くなっていく。


くっ、苦しい。


「ハッハッハッ…」


息が出来ない。