皇成には人を撃つことも、殺すことにさえ何も感じることはない。


命を狙われるのはこの世界では当たり前だ。


全国一のヤクザの若頭ともなれば手柄を取りに来るアホが居てもおかしくない。


物心ついた時から教え込まれた闇の世界。


それだけではない。


神楽組が、いや、神楽が経営する大会社を統率する術も叩き込まれた。


今では政治家や警察が俺達に頼ってくるほど、表も裏も神楽が支配していた。


「ふっ、バカらしい」


カチッ


ジッポを取り出しタバコに火をつけた。


フルスモークの窓に目を向ければ、夜中も近い時間であっても眠らない街はひとの波が消えることはない。


週末となれば尚更だ。


すぐ隣で発砲事件が起きていたことなど微塵も感じないんだろう。


俗に言う堅気。


それだけで幸せを満喫してる様にしか俺には見えない。


渋滞でなかなか進まない車中暇つぶしに人間観察をしていた。