優しい闇

「そこの隼人…いやヤブ医者が言う様に精神的な問題であってどーにか出来るものではないでしょう。それに問題は彼女の身体中の傷ではないの?」


「おい!お前の腹の傷を「あーうるさい!黙って!」」


隼人の言葉を遮りにらみ合っていると、いつの間にか皇成はソファーに足と腕を組んで座っていた。



一点を見つめ石像の様に動かない。


おいおい、大暴れした次は石像かよ。


暴れ出した猛獣はおとなしくできたとして、石像を動かすにはどうしたらいいんだ?


俺まで石像化しそうだよ。


「はぁ〜」


思わず出たため息に、皇成に沈められた連中の肩が揺れた。


「あー、君たちお疲れ様。持ち場に戻って。あっ、怪我したやつは丁度そこにヤブ医者がいるから見てもらってね」


「いやダメだ。隼人とは話がある。他の医者に行け」


あれれれれ?石像化一気に解けた?


「病院に電話しとくから裏口からそっとバレない様にはいってね?」


ニコッと笑った隼人は無駄に格好いい。


まあ、俺の足元にも及ばないがな。


「「「ありがとうございます!」」」


綺麗にハモり、お辞儀まで揃って部屋を出て行った組員達。


本当お疲れ様。