優しい闇

この部屋に女が来たのは初めてだな。


ベッドの端に腰掛けながらそっと手を握る。


「温かいな…」


あの時握った手は冷たく、その瞳まで冷たかった。


目を覚ました時どう思うだろうか。


女の隣に体を滑り込ませ、名も知らない、でどこもわからない女をそっと抱きしめ皇成も瞳を閉じた。


なぜだろうな…


安心する…


お前が誰だろうが、どんだけの闇を抱えていようが離したくね。


俺を見てくれ。


そして俺にだけ笑ってくれ…