あのビルでいつの間にか皇成と離れてしまった魁斗がやっとの思いで皇成を見つけた時には、半身をビルの外に投げ出している自分の上司。


何が起きてるのか一瞬思考が止まったが、死なれては困ると急いで駆けつけてみれば。


「あんな必死な顔の皇成を見たのは初めてだった。小学生からの付き合いでもいつもクールな皇成だったからな」


「ちっ、お前、こいつの寝顔見ていいっていつ許可した?」


えっ?!そこですか?皇成くん?


いつになく低い声で離す皇成にヒヤッと背筋が凍った。


「おっ、おい、皇成?」


「出て行け。今行く」


そう言って彼女、眠り姫を見つめる皇成の顔は穏やかな優しい顔になっていた。


まっ、マジかよ!


魁斗は皇成が人に興味を示した嬉しさとと同時に嫌な予感が頭を過ぎ去っていた。