俺の部屋に探し求めてた女がいる。


さっきまで自分の命を絶とうとしてたとは思えないほど安らかな顔で寝ている女。


そっと頭を撫でながら長い髪の毛を手にとってみればサラサラと手の中からこぼれ落ちる。


身元が分かるものは所持していなかった為名前も年齢も知らない。


「名前は何て言うんだ?」


囁くように話しかけても起きる気配はない。


「いったい何があった…」


さっきまでの光景を思えば怒りすら湧いてくる。


コンコンコン


寝室のドアをノックすると同時に扉が開いた。


「皇成?コーヒーが入ったから」


遠慮がちに声をかけてきた魁斗は、寝室に入ってきながら目の前で寝ている女を見つめた。