「上を見ろ」


そろそろ限界だ。手がしびれてきた。


でもこの手を離す気はねー。


やっと見つけたんだ。


こいつの背負ってる闇と共に俺も染まってやる。


まあ、これ以上黒くなりよーがねーがな。


「俺を見ろよ」


囁くように言えば女の顔が少しずつ動いた。


「………」


何も言わない女の顔は涙と鼻水でグシャグシャだったが、俺には女神にみえた。


ほんの少しだが微笑んだんだ。


全てに絶望した微笑みだったが。


そのまま女は気を失い、それと同時に馬鹿魁斗が登場し一緒に引っ張り上げた。