何なんだこいつ。


こいつの居場所がここだろが俺には関係ねー。


ここで自殺なんてされて汚されるのはごめんだ。


曰く付きのホテルなんて誰が寄り付くんだ。


イライラしながら吸っていたタバコを靴で踏み消し、一歩女に近づくために足を踏み出した。


俺の足音でビクッと肩を揺らした女は俯いていた顔を上げ、涙で濡れた顔を俺に向けた。


「………」


息を呑むってこの事なのか?


体が固まって動かないってこの事なのか?


意識しなくても呼吸してる俺の体は息を止めていた。


「おっ……おまえ……」