ここだよね、あかねが言ってたカラオケBOXって・・、あかねってカラオケ行くんだ。なんか意外。
「あっ!楓!ゴメンね急に」
あかねが出てきた。何か1人でいる感じではなさそうだ。
「それで、どうしたの?」
複数人いるならなおさら、何で私をよんだのだろう。
「あのさ、怒らないで聴いてね?
実は今日友達と合コンの約束してたんだけど、何か熱出したみたいで・・・、つまり・・・」
「つまり?」
嫌な予感がする、
「参加して下さい!」
やっぱりー!合コンってやった事ないし、そもそも知らない人と会うのやだな。
私人見知りだし!
「うーん、ごめ・」
断ろうとした瞬間、腕を掴まれて
「ごめん楓!楓しかいないのー!!」
「ちょっ!待っ」
部屋の中へと引っ張られた。
「紹介します!この子が楓です!」
あかねが私を紹介し始めた。部屋の中には見知らぬ男が2人。
「この子が、楓ちゃん?可愛いね!俺、富士智大、ともひろでいいから!」
「あ、はい」
とてもテンションが高くて、反応にこまったけど、悪い人ではなさそう。
私が気になったのは、その隣の人だ。さっきから腕をくんですっと黙っている。表情1つ変えない。きっとこの人も無理矢理連れてこられたのだろう。不機嫌オーラが出てる。
「あの、隣の方は?」
「あー、この人は谷中涼君。ともひろ君の仕事仲間なんだって」
谷中涼君か。何か、この2人すごくカッコいい。女の子が放ってはおかないぐらい。何でこんな人たちと合コン?
するとあかねが耳打ちしてきた。
「よかったね、楓。こんな機会なかなか無いよ。それに、あんたは理想が高いから少しでもいい出会いがあったほうがいいでしょ?」
確かに、こういうのも悪くわない。もしかしたらって事もあるしね。
「わかった、あかねに付き合うよ」
「本当に!よし!って事で、歌いましょう!!」
あかねは曲を流し始めた。
「お!いいね、あかねちゃん!俺もうたうー!」
あかねはともひろ君とノリノリで歌ってる。残された私と涼君は座ったまま。なんか、気まずいのでタンバリンを叩く事にした。
どうしよう。なんか、すごく気まずいんだけど。涼君は黙ったままだし。話しかけてみようかな。せっかくあかねたちが盛り上げてくれてるのに、台無しにはしたくない。よし!
「涼君はどんな仕事してるの?」
思い切って聴いてみた。
「美容師・・・」
そう答えた。美容師か。確かにオシャレではある。でも意外。
「歳は?」
「22歳」
同じぐらいだ。
「誕生日は?」
「好きな食べ物は?」
「趣味は?」



って!質問してるの私ばっかだし、全然話弾まないんだけど!余計気まずいし。
たぶん、この人は早く帰りたいのだろう。よく時計を見る。

「少し4人で話そうか!」
ともひろ君とあかねがすわった。
話すって、涼君全然喋らないよ?そもそも、私はこんな人とは付き合いたくないな。
「んーじゃあ、好きなタイプとかいい合おう!じゃあまずは、あかねちゃんから」
好きなタイプ?私ここでは言えない気がする。てかいったらまずいような、
「じゃあ次は楓ちゃん!」
「えっ、私?」
とっさに振られて戸惑った。
どうしよう。言えない。まずいよ。
するとあかねが
「楓はね、理想が高いからここでは言えないの!」
「そうなの?」
ともひろ君が聴いてくる。
「うん、」
「例えば?」
例えばって、沢山あるけど、まぁ
「私より15㎝以上の身長とか」
「15㎝?!細かいな!」
確かに細かい。けど、やっぱりそうでないと嫌。私より小さいとか論外だし。
「・・・だらね」
涼君が何かいった。よく聞き取れなかったが、次の瞬間
「くだららね・・」
確かに聴こえた。それが初めて自分から発した言葉だった。
「なっ!くだらないってなによ!!」
顔色1つ変えない感じが、余計腹が立った。
「だから、そんな理想とかくだらないっていってんの。俺そういう女嫌い。理想ばっか求めて、自分のこと棚に上げてさ」
言い返す言葉が無かった。心の中を見透かされた気分。私間違っているのかな。
「おい涼、言い過ぎだって!」
「俺帰る」
ともひろ君の言葉を無視して、あいつは部屋を出て行った。