けど、南くんは冷たい視線を私に向ける。 そんな表情もかっこいい……。 って今はそんな場合じゃない。 これじゃ悪い印象しか与えられないじゃん。 「10年間、南くんしか見てないんです! 本気で好きです!」 「ごめん、無理」 「天野月姫って言います!」 「帰るから」 「天野月姫です!名前と顔を憶えてほしいです! 私の存在を知ってほしいです」 ここで引くわけにはいかない。 気持ちを本人に伝えたら溢れ出してしまった。 私に気づいてほしいという欲が出てきた。