シドがクロウと別れ、部屋に戻ると部屋の前で梨乃が立って待っていた。




「お前、何してんだ。風呂入ったんだろ?湯冷めするだろ」

「う、ん・・・」

「・・・どうした」



気分の晴れない様子の梨乃に、シドは近づきそっとまだ濡れた髪に触れる。
くすぐったそうに身を捩る梨乃を、愛しく思いながら部屋の中へと促した。




「・・・シド」

「ん」

「もう一度、考え直しても、いいよ」

「え・・・?」



思い詰めたような表情の梨乃。
シドは怪訝な表情を浮かべ梨乃を見た。




「シド、すごく苦しそうだった。あの事件があってから、ずっと思いつめた顔して・・・」

「悪い、俺」

「シドが今の立場が辛いなら、・・・私、無理してほしくない」

「ちが、」

「戦いたかったんでしょう?もどかしいって、思ってたんでしょう?」





シドは目を見張る。
気づかれていたのか。